gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 レイン

クリーブランドに降り続く雨。クリーブランドは、バッファローに住んでいた頃、シカゴやデトロイトへ車で旅するときには、いつも通る都会だったが、一度も立ち寄ったことがない。これといった特徴のない、どこにでもある衰退した町。そんなクリーブランドに雨が降り続く。

浮浪者も、知的障害者も、酔っ払いも、子供を奪われたヘロイン中毒者も、金に困ったレンガ職人も、息子に死なれたタクシードライバーも、みな雨に濡れる。そんな者たちに同情する自分を愛する初老の金持ちと、関わりたくないその妻と、もっと不幸になることを願う同僚と、血縁として支えようとする息子と、不幸を利用する判事と、追い返そうとするクライアントと・・・。

長雨が、人の心を内側へ向ける。取り乱したり、耐えられなくなる者たちもいる。心の内を話して、体を寄せ合う者たちもいる。言葉を理解できないはずの者が、それを通り越して、現実をすっかり理解してしまうこともある。

終始、ジャズが流れる。そういえば、ジャズは雨に似ているかもしれない。