gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

東京タワー

東京タワーの周囲にホテルを計画してみたことがある。一応仕事だったのだが、なんとも実現の匂いのしない仕事だった。ならば、逆にもっと打ちこめば、何物かになったかもしれないが、「こんなものでは誰も幸せになれない」と思いつつ、単にプレゼン資料をつくってしまった。それは命のムダ遣いでしかない。給料はもらっていたけれど、私になんの価値を生み出すことができたというのだろう。

東京タワーは、人々に夢を与えたと言われる。そう、自分も何年かに一度、高いところから東京を見たくなったら、ここへ行く。蝋人形館とか、時代に置き去りにされた感じがすてきだ。皮肉ではない。人間には、そんな場所が必要なのだ。

その東京タワーの周りに、新しくホテルを建てる計画をすること自体が、東京タワーの本質から逸れている。だが、当時それを誰にどう伝えればよかったのか。

東京タワーには少なくとも実(じつ)がある。質実剛健。実のないものに時間を捧げるには、人生は短すぎる。