gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

大型高級車

まだ20代の頃、ニューヨークからバッファローまでの800キロの道のりをレンタカーで走ることになったことがある。中型のレンタカーを借りるつもりだったが、あいにく大型車しか余っていなくて、それに乗ることになった。

ビュイックという大型の高級車だった。そのような車を運転するのは初めてだったが、特に憧れていたわけでもなく、どちらかと言えば、高くてもったいない、という気持ちで運転を開始した。

ニューヨークからバッファローまでは高速道路一本で通じている。高速に乗ると、なんだか乗り心地が今まで乗ったことのあるどの車とも違う。でかくて、快適で、速いのだ。

運転しているうちにだんだんと周囲の車を追い越すようになってきた。まるで、周りの小さな車を蹴散らすかのように、「邪魔だ。どけ〜!」ってな気分で運転をしている自分に気づいた。

これはまずい、と思った。自分はこんな車を持つのにふさわしくない人間だと気づいたのだ。こんなことに調子に乗ってしまう人間は危うい。

それ以来、大型高級車には距離を置くことにしている。車は動くための道具にすぎない、という見方が、私は好きだし、それで十分である。