gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

同情について

映画「シャイン」の中で、主人公が精神の病になって、施設で暮らしていると、かつて彼のピアノを聴いてファンだった中年の女性が、彼の境遇に同情して、自分の家に引き取るシーンがある。

しかし、家を散らかし、水を出しっぱなしにするような彼にまもなく愛想を尽かし、彼は放り出され、一人暮らしを余儀なくされる。

その後、彼は別の中年女性と結婚することになる。彼のプロポーズを受けて、専門である星占いで相性を調べ、それを受け入れる。彼女は彼の輝きを愛する。

二人の女性の違いは、「同情」の念が在るか、ないか、にある。

同情するとは、彼の現在の境遇をネガティブに捉えることである。ゆえに、同情心で人を支え続けることは不可能である。「精神の病」をネガティブと捉えることは、ごく普通のことである。しかし、昨日書いたように、彼の「精神の病」は、彼の人生を深化させたのである。それは、むしろ人に安らいだ気持ちを与えるものである。

病とは、必ずしもネガティブなものではない。

後者の女性は、彼の現在を、未来を、積極的に信じたのだ。