gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

不思議の国の所ジョージ

我らが中学校の中庭に、ジーパン・革ジャン・サングラスにリーゼントのあんちゃんが出現した。

当時、その出で立ちと言えば、所ジョージというイメージがあった。なんとなくばっちり決まっていないのも、いかにも彼っぽい。

所ジョージがまだ売れ始めの頃だった。ラジオの「オールナイト・ニッポン」の2部で人気を博していた頃ではなかっただろうか。とにかく、私たち中学生は、彼をとても近しい存在に感じていた。まさに、その辺を歩いているあんちゃんだと思っていた。

しかし、中学生だから、こんな福岡県小郡市という、人口3万人都市の中でも一番小さな中学校の中庭に、突如として現れるはずはない、とも知っていた。どこかで、そのくらいは了解していた。が・・・

とうとうO君が口を開いた。

所ジョージだ」

顔は真剣だった。だが、まあ、その辺を歩いているあんちゃんに過ぎない所ジョージだから、別に放っておけばいい。

そこにいた誰もがそんな感じだったに違いない。なぜなら、誰もがO君の見解を否定しなかったからだ。

中学生は現実と夢の間をさまよう不思議の国に生きている。あんちゃんはきっと我らが中学校の卒業生だったに違いない。