gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

東京のハト

東京のハトは警戒心がほぼゼロに近い。

踏んでしまうくらいに近づいても、飛ばない。飛ばないどころか、びびりもしない。君たちから見れば、僕はゴジラくらいにでかいんじゃないの?と思うけれど、ゴジラだって日常の存在になれば、恐るるに足らぬ存在になる、ということか。

そんなハトを見ていると、アメリカの大学に通っていた頃の同級生のアメリカ人を思い出す。講義に遅刻してきたにもかかわらず、講義中の教授の20センチ前をゆっくりと歩いて通る。

人との距離のとり方が私とは全く違う。他人と私との間には、目に見えない境界線がある。しかし、どうやら、彼には・・・ない。

ゴジラが現れたら私は必死に逃げるが、彼は逃げないかもしれない。

東京のハトは平和ボケしている、という人がいる。平和のシンボルだからそれでいいだろう。しかし、本当は東京のハトには見えない境界線がないだけかもしれない。悪意のある人だっていると思うが、私は踏まれたり、蹴られたりしているハトを見たことがない。平和ボケしているのではなさそうだ。

見えない境界線は必要なものかもしれないし、いらないものかもしれない。ただ、私はそれを消すことはたぶん一生できないだろう。

一度、その同級生に、もしくは、東京のハトになって世界を見てみたい。