2023年。岩井俊二監督。アイナ・ジ・エンド。
陽向が「見に行きたい」と言って、ecruの引き渡し後、90分もかけて車で深谷シネマへ。
ぼくは東京よりこういう映画館の方が好きだ。
映画はアイナジエンドのうたで満ちていた。
311の「揺れる」というキリエのセリフが、夏彦のキリエに対する気持ちの「揺れる」に重なる。
キリエだけが津波で死んでしまったことに対し、夏彦は悲しみと同時に安堵している自分を許せない。
叫ぶように、癒すように、アイナジエンドの声に心が「揺れる」。
孤児となったキリエの妹を引き取り、共に暮らすことで彼自身を支える。
波が寄せて、返すように、人と人の関係も揺れながら支え合うのだ。
画面に広がる、ぼくたちにとって見慣れた九十九里の風景が切ない。