昨日、福岡から無事帰ってきたモンキチだったが、今日、九十九里の海に連れていったら、どこかでいなくなってしまった。
心当たりを全部探したが、どこにもいない。
陽向は泣いた。8年も、兄弟のように過ごしてきたから無理もない。
ぼくも、そのつぶらな目にずいぶん助けてもらった。
見つめると、見つめ返してくるような、そんな静かなコミュニケーションが彼とは可能だった。
夜、陽向が寝る前のお話では、彼はぼくの子供の頃の同級生として登場する。
また、ぬいぐるみの彼は化身であって、彼の実体は高崎山のボス猿だということになっている。
取替のきかない存在だった。
今、モンキチは桜を見続けるために、千葉から北海道へ向けてゴールデンウィーク頃まで太平洋岸を旅している。
ぼくと陽向の間では、そういうことになっている。