夕方、陽向は、クライアントとの打合せでぼくがいなくなった間に、11キロ離れた錦糸町へ地下鉄で移動。
GPSでどこにいるかはわかるから電話すると「どっかへ行きたくなった」とのこと。
さらに「PASMO使い切ったから、公園で寝る」と。
おいおい!少年が公園で寝るということは、いろんな人に迷惑をかけることなんだよ。
もっと自分でいろんなことができるようになってから、好きなようにやればいい。
ぼくが初めて野宿をしたのは、大学生になってからだ。
まあ、年は本来関係ないけれど、今の君だと周りが心配してしまうんだ。
片道切符で地下鉄で帰ってもこれない彼を、迎えに行くしかない自分。
あーあ、今日の予定も変更だ。
でも、こんなことをしながら、君は少しずつ大人になっていく。
そもそも世の中に無駄なことなど起こらない。