gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 パラサイト半地下の家族

2019年。韓国。

 

「純粋でいられるのは、金持ちだからだ」と貧乏な家族の妻が言う。

 

この場合の「純粋」は憧れでもあり、嘲りでもある。

 

つまりは、何も考えないで生きていける、ということだ。

 

貧困者は、サバイバルのためにあらゆる策略を練る。

 

頭を使っているのは、貧困者の方だ。

 

だから、裕福な主人が殺されたとき、観客として彼に同情できなかった。

 

中身のない裕福な人たち、なんとか上に向かおうとしてチャンスを窺う貧困者たち。

 

両者の間に、往々にして現れる、消せない違いがある。

 

におい、だ。

 

それは、世界はひとつだ、と心で唱える人に立ちはだかる大きな壁だ。

 

自分が放つ悪臭を自分は許容できる。そして、ほとんどの場合、気づかない。

 

だが、他人はそれを許容できない。近くに寄ることすらできない。

 

ぼくも、それを理由にいられなかった場所がある。

 

いつまでも忘れることができない、恥ずかしい経験だ。

 

人は、環境によって規定される面が大きい。

 

本質的に違うところは何もない。

 

人として生まれて来れば必ず持っている絶大な力を、発揮できる環境を保証する社会。

 

ぼくらに必要なのは、ただそれだけだ。