gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

逞しい

陽向が一気にしゃべり始めると止まらない。

 

ぼくはうれしくそれを聞いている。

 

今日の話は「命の終わりは、勝ったとか負けたとかじゃなくて、みんな逞しいんだよ」という話。

 

どこから来た言葉なのか、よくわからない。しかし、何度聞き返しても同じフレーズが返ってくるということは、彼の中で何かが腑に落ちたのだろう。

 

ぼくは「意味の変容」の一節を思い出した。

 

実現とは死であるのか。ここに生がつねに問わねばならぬ問いがあるのだ。なぜなら、現実は実現されることによって、はじめて実存するところのものとなるのだから。だが、もしこの問いをむなしとして、問うことを放棄すれば、わたしはただあるがままにあるにすぎないものとなって、なにものでもないものになってしまうであろう。

 

陽向にこれを話したが、むろんまだ分かるはずもない。

 

どんな問いも答えに飛びついてはならない。答えとは、問いを問うて大いなる問いに至ることでなければならない。

 

何か一つのモノに向き合えば、それとそれ以外のモノというとき、全宇宙になる。

 

どんな小さなものにも、その背景には全宇宙が広がっている。

 

そうして生きた命の終わりは、どうか逞しいものであってほしい。