作・絵 高畠那生。
ライバル関係にあるカブトムシとクワガタが、それぞれのツノとアゴをお互いに一度取り替えてみたいと思っていて、実際に交換してみた、という紙芝居。
カブトムシはクワガタのアゴで、ふわふわのケーキをギューッと力いっぱい噛んでみたい。
クワガタはカブトムシのツノで、子供たちにポーンとボールを高く飛ばして遊んでやりたい。
それを実現して大満足で、お互い元に戻して、それでも、やっぱり自分が生まれつき持っているモノが最高だ、と思いながら、お互いの存在に感謝する、というお話。
とてもポジティブで秀逸だ。
なぜこのお話について書いたかというと、中学3年生の頃、給食にふわふわの食パンが出だした頃を思い出したからだ。
ぼくは、これをギューッと噛みたいという妄想を確か高校一年くらいまで持ち続けていた。ふわふわを噛んだときの食感と香りが一体となった夢の中にいるような幸福感。
作者もこんな経験を共有しているのかもしれない。そう思うとうれしかったのだ。