gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

片割れ

家族で行った飲食店にアームバンドの片割れを残してきたことに、数百メートル歩いてから気づいた。

 

もう地下鉄駅に降りようとしていたところで家族に言うと、妻は「もういいんじゃない。安物だったし、新しいの買おうよ。」と。

 

「確かに。」と思ったところで、陽向が「取ってきてよ。かわいそうだよ。」と言う。

 

みんなで「そうだね。かわいそうだね。」と。

 

片割れのままでいないでよければ、それに越したことはない。

 

ぼくは踵を返し、飲食店へ走って戻った。

 

陽向が、モノに心がある、と感じるように育ってくれたことをとてもうれしく思う。