gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

雑念の塊としての「無」

塩田千春展が森美術館で開かれていた。

 

半分は気が進まなかったのだが、やはり気持ちが少し滅入った。

 

内容にがっかりしたのではない。

 

資本とアートのミスマッチに溜息してしまうのだ。

 

本来貧しい背景を必要とするアートが、余計に白く塗りこめた壁の中に閉じ込められている姿に、ただ虚しさを感じたのだ。

 

彼女のインスタレーションアートは、SNSに投稿するために、終始スマホのシャッター音に晒されていた。ポーズを決める観客たちの笑顔。

 

ディズニーランドと寸分違わない。

 

彼女の作品がどんなに抵抗しても無駄だ。

 

ホワイトキューブはやはり、雑念の塊としての「無」だ。

 

主催者側には自覚があるはずもない。