塩田千春展が森美術館で開かれていた。
半分は気が進まなかったのだが、やはり気持ちが少し滅入った。
内容にがっかりしたのではない。
資本とアートのミスマッチに溜息してしまうのだ。
本来貧しい背景を必要とするアートが、余計に白く塗りこめた壁の中に閉じ込められている姿に、ただ虚しさを感じたのだ。
彼女のインスタレーションアートは、SNSに投稿するために、終始スマホのシャッター音に晒されていた。ポーズを決める観客たちの笑顔。
ディズニーランドと寸分違わない。
彼女の作品がどんなに抵抗しても無駄だ。
ホワイトキューブはやはり、雑念の塊としての「無」だ。
主催者側には自覚があるはずもない。