gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

ひとりぼっちのダンゴムシ

ダンゴムシがひとりぼっちだったから・・・」


陽向が講道館の入口で見つけたダンゴムシを、受付の人にビニール袋をもらって家に持って帰ってきた。

「家で飼っていい?」

そのことをすっかり忘れてしまっていて、ベッドに横になってずいぶん経ってから突然思い出した彼は、横で寝ている母親を起こして、

「・・・ねえ、袋から出さなきゃ。」

袋から出して、ちいさな瓶に入れて、穴を開けたビニールの蓋をかぶせる。

「ダンゴくん」と名付けられたそうだ。



朝になってその話を聞いて瓶の中を見ると、ダンゴくんは乾燥して弱ってしまっていた。

パラワンがいる虫かごの土を少し取ってかぶせて、霧吹きで湿らせて、好物と書いてあったキュウリを置いた。

でも、陽向が出かけた後、ひとりぼっちのダンゴムシはもう動かなくなっていた。



「陽向が帰る前にダンゴくんを土に還して、ダンゴムシをとってこよう」

母親が言うから、夕方になって二人でダンゴムシを探しに出る。

マンションの入口近くの花壇。葉っぱの陰にダンゴムシを見つけてとってくる。

よかった。ちょうど、同じくらいの大きさだ。



陽向が帰って、瓶の中のダンゴムシを見て、叫ぶ。

「色が薄くなってる!」




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