gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

小学4年から6年まで、通学路には養豚場の横を通る部分があった。

毎日、できるだけ息を止めて足早にそこを通り過ぎた。

聞こえてくるギューギューという鳴き声からは、とても醜い生き物しか想像できなかった。

そんなに近くにいながらも、ぼくは豚を直視することは一度もなかった。

横で蠢めいている影の存在を、なかったかのように無視しつづけた。


あれから40年もたって、あるプロジェクトで、豚の絵を描くことになった。

「かわいい豚はいやです」と、クライアントが言った。

ぼくは生まれて初めて、豚のリアルな姿に向き合うことになった。

ぼくは、あの頃のそんな記憶を、かけがえのないものとして大切に思い起こす。

醜いもの、汚いもの、臭いもの、そんなものたちがなぜか愛おしくよみがえる。


もうなくなってしまったかもしれないが、またあそこを訪ねてみたい、という気持ちになった。



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