カブトムシのオスも死んで、朝夕のえさやりの行事が途絶えた。
成虫になると、2ヶ月ほどが寿命だといわれる。
だが、小さな命の死を、子供の頃のように、あっけらかんと過ごすことのできない自分がいる。
虫かごの中の一生について、考え込んでしまう。
カエルのように、早いうちに放してやればよかった。
年を重ねるごとに、生きる意味について考えるようになった。
きっとよけいなお世話に過ぎないのだ。
「文化的生活」とやらが、ぼくらに強いる思考に、ぼくは今、反抗的だ。
なにもかもを擬人化してしまうことが人として正しいわけではないだろう。
万物に魂が宿る、というアニミズムとは、たぶんそういうことではない。