舞妓さんの舞を見る機会をいただいた。
学生時代は京都にいたけれど、もちろんそんな機会はなかった。
一見さんお断り、の世界だ。京都の祇園を歩いていて、見かけたようなぼんやりとした記憶が残っている。
ぼくにとっては、遠い世界の象徴みたいなものだ。
手の動きを見ていた。
手に人生が表れる、というのが本当なら、手を見ればその人がわかるかもしれない。一瞬そう思った。
優雅な動きは、蝶が舞うのを見ているようだった。
だが、それ以上なにをわかったわけでもない。
遠い世界の象徴であることこそ、舞妓さんという存在の本質なのだろうから。