柔道をやっていた少年時代、これから試合をする対戦相手の姿を見て、相手の固有周期を感じ取っていた。(もちろん、そんな知識もなかったが、そうしていた、と断言できる)
柔道は相手の体勢を崩して投げるスポーツだ。その「体勢を崩す」という行為が、固有周期を変化させることだ。
細長くてやわらかいものは、固有周期が長い。つまり、揺らすと大きくゆっくりと揺れる。
逆に、太くて短くて固いものは、固有周期が短い。つまり、揺らすと小さく小刻みに揺れる。
投げやすいのは、固有周期が短い方だ。
細くて背が高い相手であれば、相手の動きの中で、体全体に力が入って固くなる瞬間を見出すことができれば、勝ちだ。
また、太っていて背の低い相手であれば、もちろん固くなる瞬間を見出そうとするが、同時に相手の動きを利用して、重量を軽く感じられる瞬間を見出さなくてはならない。