1993年。クリント・イーストウッド監督。
脱獄囚ブッチと彼に誘拐された内気な少年フィリップの逃亡劇。
青空の下、草原に横たわるブッチ。太陽がまぶしい。風が吹いて、お金が舞ってくる。
パーフェクト・ワールドが示される映画冒頭のカットは、実はラストシーンでもある。
冒頭では肩から上しか映されないが、ブッチは胸を撃たれ瀕死の状態にある。けれど、表情は安らかだ。
パーフェクト・ワールドとは何か?脱獄囚という、パーフェクトワールドとは真逆の境遇にある人物を主人公に立てることによって、観客にそれを問うている。
それは、ブッチとフィリップの父子のような信頼関係の中にあるのだろう。
だから、幸福な結末ではないが、後味は決して悪くない。