gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

思い通りにいかないこと

グリッドフレームのスタッフは、入社して当初から担当を任され、自分で創意工夫したものがかたちになって、実際の店舗に実現する。そのことは、スタッフの責任に対する意識を急速に育て、スキルを急速に向上させる。自分の好きなことだから、努力を惜しまない。

もちろん、共同作業だから、各スタッフの思い通りの空間が完成するわけではない。しかし、その代わりに、思い通りにいかないことにこそ、新しい価値を見出す契機となることを学ぶ。

ぼくは、思い描いた通りに未来は実現することがないと思うし、また思い通りに実現することを退屈だとも思う。そこに新しい発見はない。複数の人がひとつのものをつくることの価値は、思い通りにいかないものに触れて、そこに何かを発見することにあると思う。だからこそ、各スタッフの担当部分は、完全にその人に任せなければならない。(量的には22%までの改変という条件はつけたとしても・・・)100%各個人の力を出し切らないと、発見に値するものにならないからだ。

各個人の「一生懸命」を合わせて、全体を完成させる。それは、作品として評価すべきものではないかもしれないが、それが参加者全員の自由な発想を取り入れた空間であり、たくさんの人の、方向性がバラバラの創意工夫がつまっているため、空間は活き活きとしたエネルギーに満ちると同時に、多面性を獲得する。そのようにして、多くのお客さんにとって魅力的な店舗ができあがるのではないか。ぼくたちがつくった店が永く続いている理由はここにあると思う。

そうして、多くの人が多様な価値観を身につけることで、強い者だけが勝つ世界を変えていけると考えている。

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