2008年。井口奈己監督。
19歳の男と39歳の女の恋愛。本気なのか、遊びなのか、という軸で見ると、その瞬間に恋愛は終わってしまう。
この監督の持ち味だといわれる、長まわしのダラダラしたカットのように、なんとなくダラダラと続いていく恋愛は、終わったのか、もしくは、本当に始まっているのかも不明確だ。
まあ、現実にそんな恋愛はたくさんあるのかもしれない。
「恋愛にルールが必要だなんて、誰が決めたの?」とでも言い出しそうな39歳の女。
彼女を独占したいが、いつもかわされてしまう。ストレスを溜めているが、だからといって、彼女の世界を破壊することもできない19歳の男。
女の奔放さは、男の(やさしさ=ふがいなさ)によって成立していて、なにも破壊されることなく、関係はダラダラと今後も続いていくだろう。
この関係を他人がどのように見るかは興味深いが、外部の強制力に対する怖れがなければ恋愛とはこういうかたちになるのが、むしろ自然なのかもしれない。