gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

システムと感性 1

感性を目的とする組織の活動を支えるシステムはどのようなものか?

映画制作はひとつの参考になりうるかもしれない。私が好きなタイプの映画は、まるでドキュメンタリーのような、つくり手の主観を感じさせない映画だ。

たぶん、多くの人が私が好きなタイプの映画を苦手だというだろう。私が好きなタイプの映画は、興行収入を上げられない場合が多い。スッキリとしていない。わかりづらい。そんな映画だからだ。

だから、優れた映画と私が呼んだとしても、それはあなたにとって優れた映画であるとは限らないという前置きが必要だろう。

どのような映画制作も、あるものをつくりたいという強固な意志から出発する。だが、私が優れていると感じる映画は、そのような意志を感じさせない。あとかたもなく消えている。なぜか。意志が言葉となったとき、もうすでにそれは死んでいるからだ。優れた映画とは、当然、生きているものでなければならないからだ。

優れた映画を生み出すプロセスは、意志を言葉にしようとし、言葉になったらそれから逸脱する、という繰り返しでなければならないだろう。

先に、このようにしてつくられた映画は興行収入が上がらない、と書いた。

だが、同様のプロセスで店舗空間をつくるなら、話が違う。映画は、直視する対象としてつくられるのに対して、空間は背景として存在するものだからである。

人々の無意識に働きかける、優れた背景として機能する。つまり、居心地がよい空間になる。

優れた空間を生み出すプロセスは、意志を言葉にしようとし、言葉になったらそれから逸脱する、という繰り返しでなければならないだろう。

創造性の連鎖という、グリッドフレームのキーワードはここから来ている。

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