見たものを頭の中で再現してみる、という試みに以前から興味がある。
似顔絵がうまい人などは、再現性が高いのだと思う。そのうえで、どこが特徴的なのか、を選び出す能力も高いのだろう。
私も似顔絵は得意な方だと思っているが、人の顔を覚えるのは極端に苦手で、名前と顔が一致するのに時間がかかる。これは、不思議なことで、なぜ似顔絵を描くのは得意ではない人が、一度会っただけで、名前と顔を一致させることができるのか、全く分からない。
私の記憶力が悪いからだ、と言われるかもしれないが、たぶんそうではない。きっと私は人の特徴を捉えるのに時間がかかるのだろう。
人の特徴を捉えることは、実は頭の中でのイメージの再現性とは、関連がないのかもしれない。
すぐに名前と顔を一致させられる人は、イメージを再現するというよりは、その人の癖を一瞬で読み取る能力に長けているのではないか。
癖とは、たぶん絵に描けないようなものだ。匂いのようなものかもしれない。
うらやましいことだ。私は、それを捉えるまで、短い期間で3回くらいは会わなければならない。つまり、出会った人のうち、大多数の名前と顔が一致しないまま、一生を終えてしまうに違いない。
だが、ほんの少数の人については、頭の中でかなり正確にイメージを再現させられる。もちろん、その人の癖とともに。