位相幾何学(トポロジー)は、森敦の『意味の変容』で言及されていたため、理解したいという気持ちがあった。
入門編から少しずつ読み始めたところだ。今のところ、数式もほとんど出てこない。3次元的な図がたくさん出てくるが、実は「4次元空間の中では傷なしでうまくいく」かたちなどが多く、数学者たちは、いやトポロジー好きの素人も、これらのかたちを数式でイメージしているのか、と想像すると、自分にも理解できるものか、ちょっと不安になる。
が、数学の本を読むことは、ストーリーにあまり意味がない淡々とした映画を観ることに似ている。そこに何か宝石が隠れているのではないか、と目を凝らす。本や映画に責任はない。なにかを見つけられるかどうかは、すべて自分側の問題だ。
運がよければ、何かを得るだろう。何事にも、そのような態度で向き合うのがいちばん心地よい。
コーヒーカップとドーナツを同じかたちと見るトポロジーは、ものに穴がいくつ開いているかなどを問題にする。そんな学問が、DNAのかたちをつきとめるなど物理や化学の領域に応用されているらしい。
トポロジーは、ものやことのつながり方を考える学問だそうだ。つまり、関係性の学問であり、「空間」という言葉にとても近いといえるかもしれない。