夏休みは家族で熊本の祖父母の家へ行った。そこからカブトムシやクワガタムシを捕りに行くのが楽しみだった。
別に都会に暮らしていたわけではないが、クヌギ林がなかったのか、カブトムシを捕りに行くという遊びはなかった。熊本の実家周辺には、たぶんクヌギ林がたくさんあったのだ。
早朝6時前に起きて、従兄のユキヒロ兄ちゃんとヒロト兄ちゃんがクヌギ林に連れて行ってくれた。ドン、と木を一蹴りすると、バタバタバタとカブトムシやクワガタムシが落ちてきた。まさに、宝物が空から落ちてくるのである。そのときの気持ちは忘れられない。
唯一、怖い相手がいる。スズメバチである。彼が出てくると、ひたすら逃げる。
木を蹴る。虫を集める。ハチから逃げる。・・・虫捕りは、この行為の繰り返しである。宝には、危険もセットになっていることをそこから学んだ。