もう寝せようと部屋を暗くした後も、眠れないのか、暗闇の中で机のPCに向かっている私に近寄ってきた陽向。
手には、この3週間くらい毎日遊んでいた青い風船。今日になって大分しぼんできている。
私の横で風船で遊んでいるうちに、パンと低い音をたてて風船が割れた。
暗闇の中で、風船が割れる。
一瞬、沈黙した後、彼は私の顔をうかがって、次に大声で笑い始めた。だが、目は笑っていなかった。暗闇の恐怖を声で搔き消そうとしているようだった。
陽向にとっては、風船が割れる、というのも初めての体験で、そもそも風船が割れるものだとは夢にも思わなかったのだろう。手には、割れた風船をしっかりと握りしめている。
やわらかな感触と丸いかたちを一瞬で失ってしまう魔法のような体験は、彼にとっては小さなことではなかったようで、そのまま20〜30分も笑い続けた。そして、その後に大声で泣いた。
いつもならとっくに寝ている時間だったが、1時間以上眠れなかった。
いい夢を見てるかなあ・・・。