レンタカーはフィアットだった。トルコ・カッパドキアの広大な土地をレンタカーで旅するのは正解だった。ただひとつ、難がある。フィアットのギアがバックだけ入らないのである。
バックにギアが入らない車に乗ったことがある人はいるだろうか。当たり前だが、前にしか進まないのである。つまり、少しだけ戻ろうとするときも、Uターンするしかないのである。そんなとき、道が狭かったらどうする???
私は、途中で何度も車を降りては、後ろへ手で押した。Uターンするときは、それこそ、10回くらい乗り降りを繰り返した。幸いしたのは、車の通行量がほとんどないことである。
1月のカッパドキアは、路面が凍っていることもあった。押した車はズルズルと止まらない。絶望的な気持ちで車を追いかけた。
へとへとになって、フィアットを返したとき、レンタカー屋のおじさんが何ごともなかったかのように、車をバックさせた。
唖然とした。そりゃ〜ないだろう!??