父が交通事故で急死してから、もうすぐ半年になる。一週間ほど前に、父が夢に登場した。死後、2回目の登場だ。
父の法事で狭い会場はたくさんの人で混みあっていた。人をかき分けながら、誰かが私に近寄ってきた。喪服を着ている父だった。私も誰の法事なのか、すっかり忘れて、しっかり抱きあった。
「もう大丈夫だ」みたいなことを、父が言った。父は満足しているようだったが、なんのことなのかは分からない。しばらく抱き合っていたら、いつの間にか自分たちだけになっていた。夕陽が差して、空は黄金色だった。
あれ、父はもう死んでしまったのだ、と思い出した。急に涙が溢れそうになった。その瞬間、横で大きな声が聞こえた。
眠りから覚めると、陽向が隣にいて、こちらを向いて何かを叫んでいる。
「親父さんのこと?」
陽向がにっこりと笑った。