gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 茶の味

石井克人監督作品。

茶の味」とは、日本において共有される「なんかよいもの」の象徴であろう。

田んぼの小道を全速力で駆け抜ける学生服の少年。田園風景と川と鉄橋。この風景から映画は始まる。

いい絵だなあ、と思っていると、いきなりCGが出てきて、少年の頭にぽっかり穴が開いてしまって向こう側の景色が見える。

おーっと!と思っているうちに、実在する美しい風景と、これまた美しい、「風景のような紋切り型のほのぼのとした生活」をベースに、我修院達也扮するシュールなおじいちゃんを中心に、CGのような、アニメのような日常が折り重なる。

これらの両方が日常であるところに、日本固有の茶の味がある、ということか。

この構図は、海外から見た方が理解しやすいようで、海外の映画祭で高く評価されている。(北野武の映画に通ずるところもあるだろう。)

もっといえば、これが海外から見た日本の姿そのものなのだろう。

日本文化の良さは、内も外も広く包括できる、その受容性にあるだろう。違和感も含めて、認めうる幅の広さは、他の国の追随を許さない。

日本人に開かれた幸福な未来は、こんな映画のようなところにあるのかもしれない。