アーティストと職人はどう違うと思いますか?とか、アーティストとデザイナーはどう違うと思いますか?とか、質問されることがある。
それぞれの人に答えがあっていいと思う。どれが正しい、というタイプの質問ではないだろう。私自身、聞かれるたびに考えて答えたので、違う答えを何種類も言ったに違いない。
そして、また今日、それを考える。
まず、アーティストと職人との比較は、実際に手を動かして、ものをつくる段階において行われる。アーティストと職人は、つくる間に、本人の価値判断がどのくらい含まれているかで分かれるだろう。典型的職人は、つくる間に自分の価値判断を入れない。典型的アーティストは、つくる間に自分の価値判断しか入れない。だから、典型的職人には設計者が必要だが、典型的アーティストは設計者を兼ねる。
しかし、実際にアーティストと呼ばれている人には、職人的アーティストもいるし、職人と呼ばれている人には、アーティスト的職人もいる。つくる行為の中では、両方の要素が必要であり、一人の人間の中で混ざり合うことを避けられない。どちらの割合が多いか、という違いはあれ、つくる人はみな、アーティストでもあり、職人でもある、というべきだろう。