gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

夜と霧 1

ユダヤ人の心理学者フランクルが、自らのナチスによる強制収容所体験を、心理学者の目でつづる体験記である。極限状態の人間がどのようにして生きていくのか?自分であればどうか?考えさせられる内容に満ち溢れている。


「・・・わたしは、医学者として、とにかくあることを学んだ。教科書は嘘八百だ、ということを。たとえば、どこかにこんなことが書いてあった。人間は睡眠をとらなければ何時間だか以上はもちこたえられない。まったくのでたらめだ。」

「・・・人間はなにごとにも慣れることができるというが、それはほんとうか、ほんとうならそれはどこまで可能か、と訊かれたら、わたしは、ほんとうだ、どこまでも可能だ、と答えるだろう。」


自分ひとりが、もしくは自分の周りのごく小さな集団が、サバイバルすること一点に集中するとき、人間はどんなことにも慣れることができる、と書いてある。

きっと人間の限界は、私たちが日常の中で想像するよりもずっと遠くにあるのだ。人間は頑強につくられている。

人間がそのように強い存在であることを、ときおり私たちは忘れてしまうことがある。

強制収容所でそれを自覚するということは不幸なことだが、戦争とは遠くはなれた現在でも軍隊的な教育法などにより、強制的に極限状態をつくって追い詰めることによって、人間の強さを引き出す、ということは行われているだろう。

だが、私は赤の他人から強制されることを断じて望まない。

人は檻(cage)にいるのか、それとも舞台(stage)にいるのか?強制的か、自主的か。いちばん好きなことを仕事にしても、追い詰められたときは、どちらなのか分からなくなることがある。

私たちは自分で自分に命令(強制)することを自由と呼ぶような生き方へと向かうことになるのではないだろうか。