gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

設計という作業

クライアントの欲する空間のイメージが明確であるときほど、設計に苦労する。そのままつくってはならないし、そうでないものをつくってはならない、というダブルバインドに陥るからである。

設計前の打ち合わせでは、できるだけ多くのキーワードを聞き出す。が、それぞれのキーワードの重み配分を的確に理解していなければ、間違ってしまう。空気を読むとは、重み配分を掴み取る、ということと言い換えてもよい。

しかし、それに成功したとしても、・・・いや、成功しすぎて簡単に出てきた空間イメージは、最終的に私を苦しめることになる。

「簡単」に結果が出るときは、何か罠があると思った方がよい。必ず提案直前になって疑念が湧いてきて、もう一度はじめから考え直すことになるのである。そのときには、もう簡単には何も出てこない。のたうちまわって搾り出すような作業に入ることになる。

なにごとも簡単にはいかないと考えておいた方がよい。いずれにせよ、搾り出したものにしか、つくる必然性は含まれていないのだから。