gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

No X9Z STUDIO ペンキのキセキ

写真家・宅間國博さんから「写真と言葉を自由に使用してもよい」という許可をいただいた写真集「ペンキのキセキ」(2017)。

 

実は、この写真集の元は1991年に自費出版された大判の写真集「Rebirth」にあって、この風雨や太陽に晒された壁や扉や地面などのディテールを撮った写真たちは、GRIDFRAMEの「汚しうる美」というオリジナルコンセプトが生まれるためになくてはならないものであったことは、揺るぎない事実である。

 

ぼくは「ペンキのキセキ」にある写真たちはすべて理想的なSOTOCHIKU素材だと思う。SOTOCHIKU素材は錆や色褪せを魅力とするものが多いので、往々にして地味な色合いに寄ることが多いが、この写真集は、ペンキが塗られた素材が風化したものであるがゆえに、実にカラフルである。

 

そこで、ぼくたちはSOTOCHIKUに「ペンキのキセキ」と名付けるシリーズをつくりたいと考えた。ペンキを塗った鉄板を例えば外壁としてしばらく使用し、その間に自然が作用した跡を生かしてSOTOCHIKU素材とするのだ。

 

このスタジオの4枚のドアは、上記の最初の施工例である。

 

毛細根のような模様、素材の奥行き、色の深さはまさにSOTOCHIKUならではのものだ。