歩いていて、のどの渇きを感じた。
コンビニの横を通るので、何を買おうか、と考えた。いろんな種類が浮かんだが、どれも今自分が欲しているものに合致しない。だから、ワクワクしない。なんとなく不満を感じる。
これが結構、現代人の不満一般を表しているのではないか、と思う。
たぶん、ぼくが子供の頃にはなかった不満だ。
その頃は、ジュースといえばファンタオレンジとファンタグレープだった。他になにもないのだから、迷うこともない。
それに、のどが渇いても、近くに店がなかったから、1kmほど歩いた先にようやく手に入れられるジュースを思い浮かべるだけで、まさにそれを渇望した。
あの毒々しい甘すぎる液体を、今あるどの飲料よりもおいしく感じていた。
不満など、入り込む余地がなかった。
失ったものを取り戻していくためには、いつも「必要」という言葉へ帰るとよいだろう。
不便を楽しもう、という人たちも増えている。生活の中に「必要」なものを実感できるからだ。
ぼくらが求めた「余裕」は、不必要な存在を大量に生み出して来た。
もう品揃えはいらない。