gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

1964年、夏

自分がまだ生まれていない頃を回想するなんて変な話だけれど、その頃ぼくは母親のお腹の中に確かに存在していたのだから、なにも感じていなかったわけではないはずだ。

10月開催の東京オリンピックへ向けて、日本中が湧いていたかもしれない。きっと暑い夏だったのだろう、となんとなく想像している。

そのイメージはモノクロだ。ぼくの想像力は、その時代の写真に暗黙のうちに規定されている。

夏が暑くても、ぼくは母のお腹の中で涼しげに泳いでいただろう。母がうちわでゆっくりと扇いでいるのを感じる。

きっと外は暑いのだろうね。


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