gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ボルベール<帰郷>

2006年。スペイン。

サスペンス映画はあまり好みではない。だから、殺された夫を冷凍庫に入れて営業したレストランが繁盛したとしても、観る者すらその事実を忘れるくらい、誰も疑わないことは映画として不思議だけれど、私にはむしろ好ましい。

サスペンスであることに必然性がないとすれば、これくらいあっさり伏線を無駄にしてくれるのもありかもしれない。

二つの殺人が絡んでいるにもかかわらず、そのことに対する罪の意識をほとんど感じさせないのは、ラテン系ならではの感覚だろうか。

生きている人間同志の確執と和解のみにスポットが当たっていることに違和感を感じつつも、後ろを振り返らないその性質には一定のリアリティがある。

死んだはずなのに生きていた母親が、この映画の主題を象徴している。

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