マーティン・スコセッシ監督。
ギャングといえば、イタリアン・マフィアくらいしか浮かばない自分の頭には、WASPとアイルランド移民集団デッド・ラビッツの抗争を描いた時代背景のイメージが、タイトルのイメージと一致しなかった。
現在のマンハッタンのイメージは1930年頃に完成した。その70年前くらいの時代が舞台となっている。安アパートや売春宿の密集する混沌の町ファイブ・ポインツ。貧しいアイルランド移民たちの生活はここから始まる。
抗争に負けたデッド・ラビッツの首領の息子アムステルダムは、彼の父を殺したWASPの首領ビルに対し、父親の仇として憎むと同時に父親のように愛する感情を持ち、揺れ動く。アムステルダムを自分が殺した男の息子と知りながら近づけるビルも、同様に彼を息子のように愛する。
最後は、ビルがアムステルダムによって殺されることを受け入れる。
集団対集団と個人対個人の二つの関係性。生きるために、もしくは生かすために、どちらを優先させるか。
二者択一の時代は終わろうとしている。時代は、その答えを個人対個人の関係性の優位へ向けているだろう。
未だ、その方法は模索が続いているが。