gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 コントロール

ジョイ・ディヴィジョンという1970年代イギリスの伝説のバンドのボーカル、イアン・カーティスがバンドを始めて23歳で自殺するまでを描いた映画。

そもそもロックとは、コントロールという言葉の反対語だろう。よって、このタイトルはこの映画にふさわしくない。映画のタイトルとしては失敗だと思う。

映画では、彼の人生は苦悩に満ちていたように描かれている。様々な「コントロール不能」な状態に陥り、苦しんだ末に死を選んだ彼だが、つまり彼は彼の人生をコントロールしたかったのだろう。

彼はイカレた若者ではなかった。「テレビでは汚い言葉は禁止だ」と言われたときも、その場で汚い言葉を吐いてみせるのは、決して彼ではない。彼は、真摯に言葉を紡ぎ、常に全力でステージに臨み、生身の自分を晒し続けた。

多くの早世のロックミュージシャンは、「コントロール不能」を楽しみ、死に対してもまるで戯れるかのように、ふと暗闇の中に足を踏み入れるように死んだイメージがあるが、彼はそれとは違っていた。

彼は、単純にステージを繰り返して生きたかったのだろうが、彼の本然がそれを許さなかったのだろう。ステージの一回性が彼の命を奪ったといってもよい。