gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 シッコ

2007年。アメリカ。マイケル・ムーア監督。

 

医療保険制度。アメリカがカナダ・イギリス・フランス・キューバと比べて、どんなに酷いかを描く。

 

だが、困っているのは病気の人であって、健康な人は困っていない。弱者側からつくられた映画である。

 

健康な人が病気で困っている人を支える構造はもちろんまちがっていないが、お金全体を見たときに、その負担は適正だろうか?と日本の社会保険制度のことを思う。

 

経営者なら、そう思わない人は少ないだろう。だって、中小企業の経営は、社会保険制度によって逼迫している現実があるのだから。

 

社会民主主義それ自体は理想だと思うが、現状、どこからお金を集めてどこへ配分するかのバランスが悪い。そのバランスの悪さをまずは把握しようという気概すら、政治に感じられないのは、やはり財界との癒着があるからだろう。

 

国に頼れないとすれば、保険会社に頼らねばならないアメリカ。保険会社の体質自体は、会社である限り国によって大きく違うわけではないと思う。できるだけお金を掃き出さないで済むような動きをする。

 

だが、困っている人を見殺しにするのは、国だろうが民間だろうが変わらない。事例はいくらでも出てくるだろう。自分の立場を守ることが、自分の生活を守ることになる。それで弱者が死ぬのはかわいそうだが、目をつぶる。

 

麻生大臣に好意はないが、以前「医者に通わない老人に報奨金を出す」と言っていたのは大賛成だった。真剣に考えてもらうべきだと思う。健康であるよう努力することをパブリックが支える制度こそ、必要ではないだろうか?

 

例えば、ジムやストレッチに通うと一部は国が負担してくれるとか、毎年の健康診断の結果が昨年よりも上がっていると健康保険料が一部返金されるとか。。。

 

個人がパブリックに貢献する資本である、それぞれの健康状態をパブリックが放置しすぎだと思う。港区には健康診断のサービスがあるが、もっとそれ以前のアクティブなところでのサポートが欲しい。

 

マイケル・ムーア監督の切れ味はいつも鋭い。問題の提起能力は随一だが、シロクロがハッキリしすぎていて、全体に目がいかない。水戸黄門を見ているようだ。もちろん、そんなことは当の本人は百も承知で、だからこそ大ヒットするのだろうけれど。