gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

GF5 躍動的に更新され続ける「創造性の連鎖」

この設立から地盤固めまでの激動の間、グリッドフレームはシステムパーツでスクラップや「なったもの」を挟む仕事はほとんどなく、当社の制作に使う機会も次第に減っていった。だが、当社はデザインや制作の独自の進め方によって、「外部性を内部空間に取り込んで自由になれる空間をつくる」というコンセプトを実現する努力を継続してきた。その方法を「創造性の連鎖」と呼んでいる。

 

ある空間をつくるときは、クライアントインタビュー・基本設計→詳細設計→工場制作・現場制作という工程の流れで進んでいく。それぞれの段階で担当者が変わっていくが、「創造性の連鎖」の特徴は、設計で全てを決めてしまわず、<コンセプトストーリー>と<ビジュアルコンセプト>をバトンとして次の担当者へリレーされていく。そのとき、次の担当者にはある程度の決定や変更の自由度を与えられる、というものだ。

 

つまり、つくる人間全員が自分の頭で考えながら一つの空間がつくられていく。クライアントへ引き渡されるまで、当社において頭の中の空間が躍動的に更新され続ける。誰一人として最後までゴールの姿を知らない。これによって、一人の設計者の意図によって閉じられない、たくさんのつくり手の思いが込められた、エネルギーが高い、多様性のある、そして、よい意味で未完成であり続ける空間ができあがる。