gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

ココルーム

大阪市西成区釜ヶ崎のゲストハウスとカフェと庭のあるNPO法人。日本の高度成長を支えた日雇い労働者のおじさんのまちは、今では高齢化が進み仕事もなくホームレスになる人も多い。この釜ヶ崎で地域に根ざした活動「釜ヶ崎芸術大学」「まちかど保健室」「夜回り活動」などを続けている。今日も、おじさんたちが入れ替わりたちかわりやってきて、旅人や居場所をなくした若者もやってきて、一緒になにかを学んだり、つくったりしている。

ココルーム代表の詩人・上田假奈代さんは、ココルームでのアート活動を次のように表現する。
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無名の存在、無名の人たちが無名の仲間とつくりあげた無名の何か。名前もなく流れつづけてとりとめもないから生き生きとしている。窪みに澱が溜まるので少し押し出そうとするが、澱が栄養になることもわかってきたので少し残す。岸辺の際の、陸の領分か水の領分かわからないような際のあたりのあいまいなところに名も知らぬ草が茂り、葉を落とし、生き物たちが跳ねたり這ったりしている。
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2019年には、ココルームの庭に井戸を掘った。高齢化するおじさんたちは何もしなければやがて存在を忘れ去られてゆく。おじさんたちには土木仕事に関わった人が多く、井戸掘りの先生として生き生きと地面を掘ったそうだ。その記録がまとめられ、次の世代へと伝えられていく。


ブリコラージュ(その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何がつくれるか試行錯誤しながら、最終的に新しいものをつくること)によってつくられたゲストハウスやカフェの空間を見るにつけ、サードプレイスをつくるには、それが最適な手法のひとつだと納得する。多様なエネルギーが一所に集まって、さまざまな人が自由な気持ちで過ごせる空間が実現している。資本主義社会に翻弄されてきたこの町の人たちの生を、この場所が輝かせているように思うと感動を禁じ得ない。SOTOCHIKUもブリコラージュの手法と重なる部分があり、ココルームの存在に励まされる思いだ。