gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

クリエイティブサポート・レッツ

静岡県浜松市NPO法人。介護や子育てを「家族でなんとかする」という硬直化して引きこもった社会から、人に迷惑をかけてもいい、柔らかく解放された社会へ変えていくことを目的とする。そのために、家族でもない、職場でもない、サードプレイスをつくる試みを進めている。その方法として、障害のある様々な人々が日常的に取り組む一見取るに足らないと思われること(「表現未満、」)にスポットを当て、アート活動を行う場に一般の人が訪れることを「観光」と位置づけ、ゲストハウスで宿泊もできる施設をつくっている。

レッツ代表の久保田翠さんは、昨今の「引きこもり」と呼ばれる人々が引き起こす殺傷事件について言及し、次のように語る。
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家族には愛がある。何とかしてやりたい、助けてあげたい。しかしその思いが逆に、「家族で何とか出来る」「何とかする」というループに陥ってしまう。ますます社会から距離を置くことになってしまう。
こうした事件が起こると、子どもたちの送迎バスに見守りをつけるとか、通学路を点検するとか。そんなことばかりが報道される。あほじゃないか。何の解決になるというのだろう。監視を強めればますます社会は硬直化していく。
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知的障碍者たちが住むシェアハウスと、一般の人たちのためのゲストハウスを併設させるという、風通しのいい暮らしの研究がすでに始まっている。


現代社会の解決の難しい問題に立ち向かうことを念頭に、例えば、福祉施設で宿泊体験をすることを「浜松最後の秘境を探検する」と表現する発想がすばらしい。学生時代にバックパッカーをしていたぼくは、これを聞いてワクワクする。秘境の旅には、事前に予測できない、かけがえのない出会いがある。こんな出会いの中で、世間知らずの若造だったぼくは現地の人に何の見返りもなく助けられ、また、自分にできることがあれば現地の人のためになりたいと自ずと体が動いた。そして、その中で、多くのことを学ばせてもらって今のぼくがある。介護などで困っているのっぴきならない家族の事情を楽にする、お互いを助け合う社会のヒントは、知らない同士が出会って、また気ままに次の場所へ出ていくことができる「旅」というカタチにあるのではないか。そんなことを考えさせられている。