このような時期は、資本主義を牽引してきた個人の欲望は縮小しているのか?
物欲が強いと自覚している人たちも、どちらかと言えば「ものにつかない」という人たちも、きっと「ギリギリのところで必要としているものは何か」を自問しているに違いない。
「自分だけが失う」のと「みんなで失う」のは全然違う。もう少しこの事態が続いたら自殺者が激増する、という心配をする人がいるが、戦時中、食べ物がなくても自殺者が多かったわけではないように、きっと生きようとする力の方が勝るだろう、というのがぼくの予想だ。
そんな経験をしたときに、この世界は変わるかもしれない。
事態が収束して、「ほとんど前と変わらない」「いや以前よりも悪くなった」という人がいるとしても、深層で何かが変わるだろうとぼくは信じる。