2013年。新海誠監督。
この映画を支えるとてつもなく美しい背景は、かつて毎週のように日曜日に行っていた新宿御苑であるという親近感も手伝って、この作品に引き込まれた。
雨宿りする東屋で出会う男女。他に誰もいない。このようなシチュエーションが生まれる場所を他に想定しようとしても容易には見つからない。
雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ
雷が鳴り響き雨でも降ってくれないであろうか。そうすれば、あなたをこの場に引き止めることができるのに。
雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて 降らずとも 我は留(とま)らぬ 妹し留めば
たとえ、雷が鳴り響いたり雨が降らずとも あなたが引き留めるなら私はここにいる。
この映画を支えるのは、ぼくらの社会が削ぎ落すものたちだ。
ぼくらがその世界へ入っていける時間を持てることを、幸せに思う。