例えば、企業の一担当者から、空間をつくる仕事の依頼が来るとする。
その人は、辿っていけば、その企業の社長から仕事を任されているのだ。
だから、自分が価値を判断できない部分でも、なんとか自分で判断しようとする人が多い。
上司から、何でこんなふうにしたの?と問われたときに、ちゃんと自分の中で理由を持っていなくてはならない、と考えるからだ。
そこは、「業者に任せました」と答えるわけにはいかない、と思っているからだ。
これが、事業を失敗させるもとである。
どんな人も、自分にしかできないこと、だけに集中するべきなのだ。
それ以外に、口を出してしまうことは、一切がマイナスにしかならない。
まずは、設計のための条件を確定する。
そして、任せるに足る相手を探し、本当にそうなのか、を判断するのが、担当者の役目であり、その人にしかできないことだ。
あとは、相手にベストを尽くしてもらう。一切の妥協なく、仕事を進めてもらう。
その環境づくり。
相手を選ぶのに、安易にコンペという手段をとるのは浅はかだ。コンペは、必ずタダ働きをさせる相手をつくることになるから、経済全体にロスを生み出す。
自分たちだけが儲かればよい、という会社の思想の表れであり、コンペという時点で相手とはビジネスライクな関係しか望めない。
参加料として、適正な金額を設定できるならばそれでもよいかもしれない。でも、相手の心意気にお金を払うのだから、いくら払っても足らない、と思った方がいい。
一生懸命生きる、という気持ちを守るために、そんな世の中に変えていきたい。