2012年。メキシコ。
父母娘の3人家族。ある日、母と娘が乗る車の事故で、母を亡くす。
父と娘が過ごす日々は、一見、いたわりあう静かな生活に映る。だが、父は妻の死に対し、怒りの矛先がなく、仕事場でイライラを募らせる。そして、娘は学校で酷いいじめに合う。
娘が修学旅行でいじめの結果として、失踪してしまう。
父はその原因となったクラスメイトの男子に矛先を向け、なんのためらいもなく、彼を海に放り投げ、殺害する。
愛する人を失ったとき、怒りの矛先がない、ということが、どれだけ当事者の精神を蝕むのか、が描かれている。
娘の失踪後の父のストレートな行動が、恐ろしく、またどこまでも悲しい。