gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

柔道と空間 3

さて、柔道で鍛えられた空間イメージ力は、ぼくの今の仕事に生かされている。相手の動きに合わせて、一瞬で自分の動きを決定する修練は、与えられた環境に対するレスポンスとしての空間デザインそのものに近い。

 

京大時代から発展途上国を中心に30か国を旅した。その後ゼネコンへ就職し、ニューヨーク州立大学建築学部への企業留学させていただいた。帰国後、1998年に会社が事実上倒産し、ライフワークと位置づけていた空間づくりを継続すべく、今の会社を興し21年目だ。

 

空間をつくるテーマは、「開いていること」。それは、柔道でいえば、負けるかもしれない相手に対し、勝つイメージを構築し、実際に闘うことだ。

 

ぼくらは、世界を均一化する「とりかえのきく世界」へ向かう世の中に生きていて、ぼくらの生活はどんどん快適・簡単・便利になっていくが、一方でそれを息苦しく感じてはいないだろうか。

 

計算通りにはいかない「試行錯誤」の中へ人をいざなう空間を目指している。その先にあるのは「とりかえのきかない世界」だ。