ぼくらの家族に春の到来を告げるのは、青山小学校の帰り道にある墓地の歩道の隅っこに佇んでいるヒキガエルの存在だ。
2月20日くらいになると、ぼくはワクワクしながら学校へ陽向を迎えに行く。
もちろん陽向も愉しみにそれを待っている。
「いるかな?」「いないね」「いや、いると思う」という会話をしながら、道の隅っこを探すと、いたいた!今年もいた!
二人で大声をあげて、陽向はスマホで一匹一匹写真を撮りながら、ぼくは顔を近づけて一匹一匹の違いを確認しながら、ゆっくりと進んでいく。
まるで小犬の鳴き声を遠くに聴くようなヒキガエルの鳴き声を聴きながら。
メスの上にオスが乗っかっているのもいる。
彼らが、時折通る自転車に轢かれないように、道の真ん中にいるものは、隅っこへ追い立てて。
2月といえば、これだね。