それは
かつて住んだことのある 懐かしい場所か
まだ訪れたことのない どこかにある場所か
風景は心の中にある
目を閉じれば
いつの間にか ぼくは風景の中を歩いている
夢に入口がないように、いつの間にか・・・
夢で見る風景は
いつもありふれた 日常の場所で
通りすがりの 顔の見えない人たちがそぞろ歩く
「こんにちは」
振り向くと
いつもそこにいて言葉を交わす人たちだけには
肉声があり、表情があり、名前がある
風景は消えて、
ぼんやりとした輪郭はにわかに鮮明さを増し、
生きた営みがその場を満たす